頭痛は身近な病気で、多くの方が経験されている一般的な症状の一つです。頭痛は大きく一次性頭痛(習慣性頭痛)と、二次性頭痛に分けられます。一次性頭痛とは、脳の病気を伴わない頭痛のことを言います。二次性頭痛とは、何らかの病気が原因で起こる頭痛のことを言います。
一次性頭痛は、脳の病気を伴わない頭痛のため、命に関わるほど重篤ではない点で心配はないのですが、多くの場合慢性化して痛みを繰り返すことが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。一次性頭痛は、主に「片頭痛」、「緊張性頭痛」、「群発頭痛」の3つに分けられます。
片頭痛
片頭痛の症状は、頭の中の血管が拡張することで起きるため、脈を打つようにズキンズキンと痛み、動く(歩く・階段を上るなど日常の動作で)と悪化します。光や音にも敏感になり、TVや音楽などの音は消して部屋を暗くし、横になって安静する必要があります。個人や状況によって異なりますが、発作は4~72時間程続いて自然に回復していきます。
片頭痛と言いますが、片側だけではなく両側のこめかみも痛むこともあり、4割程の方が両側の痛みを訴えています。また女性患者様が多いのも特徴で、30〜40代でピークを迎え、更年期の50歳前後で症状がなくなるケースが多く、月経による女性ホルモンの変化の影響を受けているといえます。その他の誘因としては、気圧の変化、精神的・肉体的ストレス、過度な飲酒、チラミンを含む食品(ワイン・チーズ・チョコレートなど)の摂取が考えられます。
緊張性頭痛
緊張性頭痛の症状は、頭の周囲をはち巻きでギュッと強く締め付けられたような痛みが続きます。頭が重い、ボーッとして思考力がない、慢性的でスッキリした感じを得難い状態です。
日本人の中では最も多い頭痛で、原因としては長時間のデスクワークによる血行障害が考えられます。長時間パソコンなどでうつ向きの姿勢が続くと、頭や首、肩の筋肉に大きな負荷がかかり、筋肉が緊張して血流が悪くなり、場合によっては炎症を起こします。その他の誘因としては、精神的・肉体的ストレス、疲労、自律神経の乱れなどが考えられます。首・肩こり凝りを感じる前に、こまめなストレッチをすることで悪化を防ぐことができますので、1時間仕事をしたら、軽くストレッチを心がけてみましょう。
群発頭痛
群発頭痛の症状は、頭部の血管が何らかの原因で拡張してしまうことで、目のくぼみからこめかみにかけてズッキンと激痛が走り、大人でも耐え難いほどの痛みに見舞われます。頭部の血管拡張、頭や顔の感覚の神経(三叉神経)が関わっているのではないかと言われ、発症メカニズムは完全に特定されていません。個人や状況によって異なりますが、発作はある一定期間に集中的に起こり、その期間中は脳が異常な興奮状態を繰り返します。また働き盛りの20~40歳代男性患者様が多いのも特徴で、女性患者様の3〜7倍いると言われています。原因としては、飲酒・喫煙、急激な気圧の変化などが考えられます。痛みが強く、日常生活や仕事にも支障をきたすことが多いため、適切なコントロールが重要になってきます。
二次性頭痛
二次性頭痛は、脳の病気を発症したことで起きる頭痛のことで「怖い頭痛」と言われています。原因としては、くも膜下出血・脳出血・脳梗塞(脳血管障害)、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎、頭部外傷などが考えられ、生命の危機に瀕している可能性のある頭痛のため「怖い頭痛」と言われているのです。
今までに経験したことがない強烈な頭の痛み(明らかにいつもと違う頭痛)、急性・突発性の頭痛、発熱、手足のしびれや麻痺を伴うような場合には二次性頭痛を疑って、至急病院で診断を受けてください。また数週間のうちに頭痛が悪化してくるようであれば、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあるので併せて注意が必要です。
頭痛は身近な病気です。身近にあるが故にたいしたことないと放置していませんか。最近はよい治療法もあり、投薬や対処療法で改善できることもあります。また二次性頭痛のように、大きな病気が潜んでいる可能性もありますので、頭痛専門外来、脳神経外科、脳神経内科などを早めに受診してみましょう。